児童手当のために出産を遅らせる母親たち
オーストラリアでは、7月から新生児の両親に支払われる児童手当が現行の4倍に引き上げられるため、臨月の妊婦たちが出産を遅らせようとしているとのことである。
しかし、出産予定日を遅らせることなんて簡単なのことなのか、、、と出産経験のないこのワタクシは思ってしまうのだが、初めてこの制度が導入された2004年には、700人の出生が人工的に遅らせられたらしい。となると、今回も数百人単位の(早産ならぬ)遅産の赤ちゃんが誕生することは間違いなさそうである。
御他聞に漏れず、少子高齢化に悩むオーストラリアでは、一組の夫婦が三人の子供を作ることを奨励しているようで、このような福祉手当の改定が行われているらしい。その結果出生率が上がり始めているようなので、やはり金で釣るのが最も的確な政策のようである。
一方、相続税を撤廃した際には、制度が導入されるまでに死なせる訳にはいかないと思った家族が多かったのか、死亡時期まで延期させた例が多々あるようである。
クリスチャン友愛会の牧師の「人間の精神のうちには、論理と生理にさからう驚くべき能力がある」というコメントは、正に名言であると言わざるを得ない。
今このニュースを読むと笑っていられるが、日本でもこれくらいのことをしないと少子化には歯止めが掛からないのではないのだろうか。
ちなみに、このワタクシは、この国の福祉制度と教育制度を憂うあまり子供を作らないのである。
、、、と、未婚のこのワタクシが言うのもなんですが。。。
追記)
出生を遅らせることがそんなにたやすいことであれば、以下の関連サイトような問題も起こらなかったような気がするのだが。
(関連サイト)
「6年6月6日に生まれたら、、、」
(引用)
児童手当のために出産を遅らせる母親たち
[ 2006年06月20日 21時51分 ]
[シドニー 19日 ロイター ] 来る7月、オーストラリアの病院ではベビーブームが起こりそうだ。7月から新しい福祉制度が実施されるので、臨月の妊婦たちが出産を遅らせようとしているためだ。
7月1日以降、新生児の両親に支払わる児童手当が、現行の1000オーストラリアドル(およそ8万5000円)から4000オーストラリアドルにつりあげられる。
調べによれば、2004年7月に新生児の児童手当がはじめて導入された際、この恩恵を受けるために700人の出生が一週間ほど人工的に遅らせられたそうだ。
メルボルン・ビジネス・スクールの経済学者ジョシュア・ガンズ教授とオーストラリア国立大学のアンドリュー・リーの共同研究によれば、およそ300人の出生時期が2週間以上動かされたという。
これらのほとんどで、帝王切開や出産誘導剤の類が用いられているそうだ。
ジョン・ハワード首相の保守政権は、オーストラリアの出生率低下と高齢化問題に打ち勝つために、国内のカップルにより多くの子どもを生むよう促している。
ピーター・コステロ財務長官は2年前、オーストラリアのカップルは「1人は父親のため、1人は母親のため、もう1人は国のため」に子どもを持つべきだと発言した。
今月発表された数字は、オーストラリア人たちがこの愛国的な義務を果たしていることを示しており、12年ぶりのベビーブームの兆しが見えている。
コステロ財務長官は、手当の恩恵を受けるために母親と新生児の健康を危険にさらすようなことはしないよう、親および医師たちに呼びかけている。
彼は月曜日、国会で「母親と子どもの健康を危険に晒すようなかたちで出産を遅らせてはなりません」と発言した。
また彼は、「たくさんのオーストラリア人が、1人は父親のため、1人は母親のため、もう1人は国のため、という挑戦を実践しはじめているようです。それはオーストラリアにとって良いことです」とも述べた。
しかしながら、研究者たちは死亡率に関しても同様の傾向を見つけている。
1979年に、当時は財務長官だったハワードは、最大28パーセントの相続税を撤廃する計画を発表した。
ガンズ教授とリーは「オーストラリアの相続税廃絶は死亡率に影響したか?」と題した研究報告書も発表しており、それによると研究対象となった事例のうち9件中5件もが死を一週間以上遅らせていたそうだ。
ガンズ教授とリーの研究報告を受けて、ライフストリーム・クリスチャン友愛会のレントン・マクレエ牧師は『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙に、「人間の精神のうちには、論理と生理にさからう驚くべき能力がある」と述べた。