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「掛からない電話」ならぬ「掛けるだけの電話」

 先日の某航空会社の話(参照:「掛からない電話」)の続き。

 結局四苦八苦した挙句に獲得した某航空会社系ホテル(この逸話は「掛からない電話」参照)に宿泊した。北海道最大の空港から車で10分くらいのところにそのホテルはあった。
 なんだかんだ言っても、タダのホテルは良いものである。そのホテルにチェックインするや否や、「笑わせる商社マン」の執筆を続け、眠くなると豪華なベットで熟睡である。(作家が旅館やホテルに長期滞在し、作品を作り上げる気持ちが少し判ったような気がする。なんとなく、プチ作家体験であった)
 こんな豪勢な生活はしばらく続けてみたいものだが、あいにくタダなのは一泊だけなので、翌日羽田に向かった。
 チェックアウトして空港までのタクシーに乗ると、いきなり運ちゃんが語りだした。
「お客さん、航空関係の方ですか?」
「いえ、違います。私はパパさん一年目のしがないサラリーマンです」
「それは良かったです。それなら、ちょっと聞いてもらえますか」
 一体何が良かったのだ、「パパさん一年目のしがないサラリーマン(そもそも、これがデタラメ)」が良いとか悪いの対象とは思えないだけに、「航空関係ではない」ということが良かったということなのか。とりあえず、何か話がしたいようである。旅先のタクシー運ちゃんとの話を非常に大切にしているこのワタクシとしては、臨むところである。
「なんでもおっしゃってください」
 とこのワタクシ。
「いや~、某航空会社はひどいですね~。今お客さんを乗せる前に空港から某航空会社の社員の方をお乗せしてきたんですが」
 なぜタクシーに乗ってもらったのに「ひどい」のか。ひょっとすると、足でも臭い(参照:「笑わせる商社マン・N~第三章 仕事は仕事~」) のか。。。運ちゃんの次の言葉を待った。
「いや~、予約されているのに出てこないんですよ。おかげで一時間近く空港で待たされました」
 空港から出てこないとはどういうことなのかよく理解できなかったので解説を求めた。要するに、例えば乗員がその日フライトでやって来て宿泊する場合、たぶん一般社会で言うところの反省会みたいなものがあるのか、フライトが着いてもすぐにタクシーに乗りにこないらしい。にもかかわらず、その某航空会社からは着陸時間ベースでタクシーの予約が入るので、当然タクシー側は待たされることになるとのことであった。
「いや~、20~30分待たされるのであればまだ許せるのですが。。。」
 と運ちゃん。
 さすがは北海道、懐が深い!関西人のこのワタクシなんて5分で怒りがこみ上げてきて、10分経てば相手を罵倒しているでしょう。それにしても、20~30分以上待たされるって、一体どれくらい待たされるというのか。
「いや~、昨日なんて2時間40分ですよ。夜のカキイレ時に。。。」
 このワタクシは、2時間40分という時間よりも、運ちゃんが毎回冒頭で「いや~」ということの方が先に気になったものの、確かに運ちゃんの気持ちもよく分かる。たかだか車で10分の距離のために2時間40分も待たされると、実質その日の商売はあがったりである。
 そのあとの運ちゃんの言葉が揮っていた。
「いや~、航空業界って最も時間に忠実でないといけない業界のはずなのに、これじゃダメですよ。いや~、我々は制限速度が80キロでもお客さんのニーズに併せて多少速度オーバーしても許される範囲です、、、」
 このワタクシの場合は、「多少」ではないので相槌打てず。。。 さらに運ちゃんは続ける。
「いや~、空の上では時間にしてもルールにしても遵守しなければ大変なことになるはずで、この空港で乗せているお客さんだけでも、そういうところがしっかりしていない人がたくさんいる航空会社って大丈夫なんでしょうか。いや~、一般社会とは感覚が違うとでも言うかなんというか、空のストレスを地上で晴らしているとしか思えませんね、はい」
 う~む、まさかそんな人ばかりではないとは思うが、この人優しそうな運ちゃんの怒りは大変なものであった。ただ20~30分にしても、ましてや2時間40分も呼んだ人を待たせるというのは地上ではありえないことである。





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コメント (2)

「いや~」って北海道弁のような気もしますねぇ。
おじさん世代からはよく聞いていたような。
北海道の人って「怒り」が見えにくくて逆に怖い時もありました。。

Aonori:

 おっ、北海道方言説ですな。
 是非とも検証いただけるとありがたいところです。
 単に運ちゃんの口癖ではないかという気もするのですが。。。

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